大賞

[日本一のワケ]とんぶり収穫量 至難だった皮むき機考案??秋田・比内町

ホウキグサの実で、プリプリとした食感が人気のとんぶり。実を採取したあとの枝は、かつてほうきの材料になった。血糖値を抑制するとされるサポニンを含み、糖尿病への効果が注目されている。収穫のピークは9?10月。収量で全国の約9割を占めるのが、「比内地鶏」で知られる秋田県比内町だ。
 
 とんぶりは江戸時代から食用にされ、各地で家庭の庭先に植えられていた。しかし実の皮を除去するのが至難。皮をむかないと、あの歯触りと「畑のキャビア」と呼ばれる緑色が出ない。農家の人は湯がいて竹製の大きなざるに入れ、水の中で何回ももみ洗いして皮をむいた。が、手間がかかるため商品作物としては敬遠されていた。

 町がとんぶり栽培に本格的に取り組んだのは、グルメブームで珍しい食品が通にもてはやされた79年ごろ。転作作物として農家が取り入れた。町農協(当時)が実を加工し真空パックする独自の技術を開発したことから通年販売が可能となり、20ヘクタールだった作付面積はピーク時で約90ヘクタールまで増えた。ここ数年は生産者の高齢化もあり、53戸で44ヘクタールと面積は下降気味だが、トップの座は揺るがない。

 祖父母の代から2ヘクタールを栽培する同町独鈷(どっこ)、小丹波潔さん(57)は「包装機械の導入も大きいが、一番は皮をむく機械が考案されたこと」と話す。この機械は町内の食品会社とJAにある。ただし、加工過程は企業秘密だという。

 山あいにある独鈷地区は、広さ約50ヘクタールの大規模栽培地。杉林に囲まれた台地は水はけがよく水稲栽培に適さない。一方でとんぶりの刈り取りは手作業で行うため、ぬかるんだ土地では栽培に向かないという。

 さらに、大敵は台風。収穫前に襲われると実が風で吹きこぼれるからだ。「台風被害が少ないことも特産地を形成できる理由の一つ」と、販売窓口のJAあきた北比内営農センターは言う。