啓蟄とは土の中の虫が動き出すころ。如月は陰月二月の異称。また、仲春ともいいます。

2014年の啓蟄はいつから?

3月6日(木曜日)〜3月20日(木曜日)

啓蟄の頃の行事やことば

春寒

立春を過ぎて暦の上では春となつても、急に真冬に戻ったような寒い日が訪れることがありますそんな日を「春寒」と呼びます。

こうした寒さは一時的なもので、 長く続くことはありません。ですが、気温の変化で体調を崩しやすくなる時期でもあるので、十分に気をつけたいものです。

虫だしの雷

立春を過ぎて初めて鳴る雷を「虫だしの雷」といいます。これは、それまで土の中で冬眠していた虫たちに、雷が「春が来たからそろそろ地上に出ておいで」と呼びかけるものです。

この時期は、虫が地上に出てくる「啓蟄」と重なることから、春に鳴る雷がその合図だとされてきました。目覚めた虫が花の蜜を求めて飛び回るようになるとすっかり気分は春になります。

一場の春夢

「一場春夢」といつ四字熟語でも知られる言葉で、人間の栄華は短い春の夜に見る夢のようにはかないことのたとえです。

北窓開く

春のお彼岸の前になると、各家庭では家の北側に面した窓を開けます。冬の間は寒い北風が吹きつけるために閉め切っていた窓を開け、春風を家の中に入れるこの行為を「北窓開く」といいます。

窓を開めていると、どこか家の中も暗い感じになってしまいますが、窓を開けて明るくなると、家の中にいても春を感じることができるでしょう。

十六団子の日

3月16日は春になり、田の神が山から下りてくる日とされています。東北地方では、田の神を迎えるために、米粉や上新粉で作った団子を十六個供える風習があります。田の神は臼と杵の音を聞き、山から下りてくるといわれているため、自杵で米を挽き、もちを作ったのです。秋の10月16日、または11月16日は、逆に山に登る田の神を送るために十六団子が用意されます。シンプルな団子ですので、黒みつや小豆などでいただきたいですね。

啓蟄の頃の旬の食材

はまぐり

お吸い物や酒蒸しをはじめ、洋食ではクラムチャウダーなど、焼いてもよし蒸してもよしで、幅広い料理に使われるハマグリ。古くは『日本書紀』にも登場し、平安時代には遊戯のひとつである貝合わせにも使われていました。当時の遊び方は貝の色や形を楽しんだり、貝を題材に歌を詠み合わせたりするものでした。やがて、裏返した貝殻の中から対になる模様の組み合わせを探しあてる、現在の神経衰弱に似たような遊びに変化しました。

江戸時代には貝殻の内側に蒔絵や金箔、さらに『源氏物語』の絵などを施した貝合わせも作られました。ハマグリが貝合わせの材料に使われていたのは、もとの貝同士以外に、決して他の貝殻とは合わせられなかったからです。そのため貝合わせは、良縁や縁結びの象徴として、嫁入り道具となり、ハマグリ自体はひな祭りの縁起物となりました。

ホタテ貝

帆立員は貝殻の直径が15センチほどで、貝柱をはじめ、身を刺身にしても焼いても十分食べ応えがあります。

名前の由来は海中を移動する様子。帆立貝は捕食者から身を守るため、出水管から海水を勢いよく吹き出して海中を素早く移動することができます。その時に二枚貝の殻を勢いよく開く姿から帆立貝と呼ばれています。

帆立貝は、日本では主に東日本の大平洋沿岸の冷水域の浅瀬で多く採られていました。現在では養殖も盛んですが、自然の海で外敵から保護をしているだけです。だから、栄養分は植物性プランクトンといつ、海からもたらされる自然の恵み。味は天然ものと大きく変わらないそうです。旬の時季は産卵前の3月頃。

うまみ成分であるアミノ酸、グルタミン酸などをたっぷりと含んだ身は、国にふくむと広がる甘みとともに肉厚で、やわらかい食感が誰からも愛されています。

メザシ

目刺とはカタクテイワシやウルメイワシなどの鰯類の小魚数匹を束ねて、竹串で目を刺し通し、塩を振って干したもののことをいいます。

特に「目刺」といつ名の魚がいるわけではないのです。目ではなく、モフから刺し通したものは「ほほざし」とも呼ばれています。目刺のなかでもウルメイワシを使ったウルメ千しは最高級品として知られ、人気の商品です。高知県の名産にもなっています。通常、そのまま食べるのではなく、焼いて食べるとおいしくいただけます。また「目刺」は春の季語のひとつで俳句などで使用されています。高浜虚子だ詠んだ、「蒼海の色尚存す目刺かな」といつ句があります。

飯蛸

飯蛸は冬から春にかけてが旬の魚ですが、季語では春のことばとして知られています。マダコ科の小型のタコで、体長は20〜25センチほど。

胴の中の卵を煮ると飯粒のように見えることから、その名がついたといわれています。通常、卵をもった魚のことは「子持ち」と呼びますが、飯蛸の場合は「いい持ち」と呼んでいます。

日本での食べ方は煮物や刺身などが一般的。まるごとおでんに入れて鍋物としてもおいしくいただけます。卵をもったメスのほうが珍重されています。

ほうれん草

おひたしやバター炒めなどにして食べられるほうれん草。ビタミンAや鉄分が豊富で、貧血などの症状に良いとされています。

もともとは西アドンア原産の野菜で、シルクロードを通って江戸時代の初期に、日本に持ち込まれたといいます。「ほうれん」とは、中国語で「ペルシヤ」を意味する百葉です。

ほうれん草には西洋種と東洋種の二種類がありますが、現在では、おもにそれらを一父配した一代雑種が栽培され、主流となっています。また、葉を小さく、柔らかくした「サラダほうれん草」などの品種も登場しています。

啓蟄の頃の花

アセビ

ツツジ科アセビ属の常緑樹がアセビです。日本では本州から四国、九州で見られ、つぼのような形の白い花をいくつも咲かせます。

漢字で「馬酔木」と表記するのは、馬がアセビの葉を食べると、酔っ払ったようにふらつくからです。実は、アセビは草食動物の神経を麻痺させる毒を持つのです。しかし、この毒からは殺虫剤が作られ、有効活用されています。

すみれ

春先ラッパのような形の花を咲かせる菫は、どこでも顔を出す野草です。花の色は独特の菫色といつ名前にまでなった青紫。五枚ある花びらは下一枚だけが大きいのが特長です。山菜としても葉を天ぷらにしたり、ゆでてお浸しや和え物にします。花も酢の物や椀物の具に使われます。

ただし、パンジーやニオイスミレなどは毒があるので注意。菫の名前は花の形が墨入れに似ているからといつ説がありますが、定かではありません。

菜花

童謡『朧月夜』や数々の歌人や詩人にも詠まれる季の花、菜花ですが、名前の由来は食べられる(菜)花、という意味から。

多くはアブラナ、セイヨウアブラナで、この時季の黄色の花をつけた菜花が野に咲き乱れるさまは圧巻です。2月から3月にだけ出荷される旬の野菜で、ビタミンCやミネラルが豊富な緑黄色野菜です。傷みやすい野菜のため、保存には加熱してから冷蔵すると長もちします。

アブラナ属は種類が多く、アブラナのほかに野沢菜、自菜、カブなども黄色い花を咲かせる菜花として栽培されています。「白い菜花」と呼ばれるのは大根です。

春蘭

早春の頃から、淡い黄緑色の花を咲かせる蘭が春蘭です。日本各地に自生していますが、園芸植物として江戸時代から栽培されてきました。

地域によっては別名「ホクロ」「ジジババ」などとも呼ばれますが、これは花に出る斑点をホクロや、顔のシミにたとえた呼び名です。また、花の上の方にほっかむり、下のほうに髭があることから「ジジババ」となったという説もあります。

この花は食用にもなり、塩漬けした花をお湯に入れて飲む「蘭茶」のほか、花を茄でて酢の物にして食べたりもします。

桃の花

梅の花と桜の花の間の楽しみは、桃の花の開花です。3月下旬から4月初めに薄桃色の花を咲かせます。梅、桜同様、葉が出る前に花が咲きます。その華やかさは桜に負けません。

桃の実は旧暦の秋に実を結び、水分、糖分、カリウムなどを含みます。水蜜桃、白桃、自鳳、黄桃など多くの品種が出回っています。桃は栽培中に害虫に侵されやすく、取り入れ後も傷みやすい果実です。

水分が多いため、平安、鎌倉時代には夏の「水菓子」と呼ばれて珍重されていましたが、当時の桃はぞんなに甘くなかったようです。

シロツメクサ

ヨーロッパ原産の植物で、日本には江戸時代に入ってきたとされているシロツメクサ。白い花を咲かせるマメ科の多年草で、別名の「クローバー」も有名です。

通常の葉は3枚ですが、4枚に分かれたものは「四葉のクローバー」として、幸せをもたらすとされています。これは、遺伝性のほか、成長過程で1枚の葉が2枚に分かれることから4枚になるので、なかにはまれに5枚以上の葉をつけるものも発見されています。

啓蟄の頃の生き物

モンシロチョウ

春とともに現れるモンシロチョウは、冬の間サナギとして過ごします。そして気温が十五度になると、チョウに変わり花畑を舞い始め、3週間ほどの短い寿命の間に産卵します

生まれた青虫の食欲は旺盛で、4、5回行われる脱皮の間にキャベツの葉などを食い荒らします。

この青虫が蛹になり、蝶になるということを秋まで繰り返しますが、夏は天敵が多く数を減らすため、あまり姿を見なくなります。冬を迎えた蛹はそのまま冬眠して、また春を待ちます。春にいっせいに現れるため、春の虫としての印象が強いのでしょう。

啓蟄の頃の歌うた

春寒き 寒暖計や 水仙花

子規

菫程な 小さき人に 生まれたし

漱石

啓蟄の七十二節気

蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)

冬ごもりの虫が出てくる

桃始笑(ももはじめてわらう)

桃の花が咲き始める