清明とは二十四節気の中でも春の第五節気です、その意味はすべてのものが清らかで生き生きするころ。このころ、天地がすがすがしく明るい空気に満ちるといいます。転じて清く明らかなことの意味にも使われます。弥生は陰暦二月の異名。

2014年の清明はいつから?

4月5日(土曜日)〜4月19日(土曜日)

清明の頃の行事

朧月夜(おぼろづきよ)

春の夜にほのかに霞んでいる月の様子をいいます。『源氏物語』に登場する朧月夜は、あでやかで奔放な美女で、物語では珍しく、光源氏との激しい恋が描かれています。名前の由来は和歌「照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしく(似る)ものぞなき」からきています。この時季、月が霞んで見えるのは、中国から飛んでくる黄砂の影響とか。

春雨

この時期にシトントと降る、弱い雨のことを「春雨」といいます。これから芽を出す草本にとっては恵みの雨ともなるのですが、その一方で、すでに咲いている桜の花などを散らすことから、「花散らしの雨」とも呼ばれています。

冬と春先の乾いた空気から、次節気の「穀雨」が近い」とが感じられ、雨の季節になると虹が現れ始めます。本々が色づき、花が色とりどりに咲くなか、虹の出現によって、空もまた色づいて世の中がますます明るくなっていきます。

清明の頃の旬の食材

さより

尖ったくちばしと細長い身が特徴のサヨリは、産卵期に動物性プランクトンを捕食するために海面近くに集まってきます。この時季のサヨリは脂肪が多く、白く透明な刺身は人気の料理です。

鰆(さわら)

サバの仲間であるサ7フは体長が1メートル近くになる大きな回遊魚です。春にはこの魚も産卵のために沿岸に近づいてきます。サワラは甘日の味噌に漬けて焼いた西京焼などの食材として、高級魚に位置しています。

いとより

春の魚であるイトヨリも高級魚のひとつ。皮目が赤地に虹色の横筋模様が美しいイトヨリは、自身を焼くと身がほぐれるようなやわらかい焼き魚となっています。

白子干し

かたくちいわしの稚魚を塩茄でにして、水分が半分ぐらいなくなる程度に軽く干したものが白子干しです。俳句の世界では、「白子干し」は春の季語となっています。

なお、この白子の水分を30パーセントほどにまで乾燥させたものが「ちりめんじゃこ」です。

鱒(ます)・ホッケ

鱒はサケロサケ科に属する魚です。いわゆる紅鮭などとは区別されていますが、鮭と鱒の区別がはっきりしていないため、国によっては区分の方法が異なっています。鱒のなかでも、一生を川で育つものを雨魚、鮭と同様に海から川二戻り、ふたたび海に帰るものを桜鱒、桜鱒のなかで海に帰らないものを山女魚と呼んで区別しています。

鰊(にしん)

鰊は大平洋北部からベーリング海までの広い海域を回遊する魚で、五月から六月にかけて産卵期を迎えるため、日本の沿岸に近づいて卵を産みます。「鰊来たかとカモメに問えば」とソーラン節にも歌われたように、沿岸に集まった鰊をカモメの群れが狙う風景が、季節の風物詩でもありました。春には鰊の白子で海が自く染まったといいます。

鯵(あじ)

鰺の名前の由来は、「味」がおいしいから、という説があります。鰺は日本の代表的な魚で、昔から漁獲量が多かったことから魚の意味で鰺を用いる地域もあります。

鰺は大きな群れをつくり日本の沿岸の中層域を回遊しながら、動物性プランクトンや小魚を捕食しています。魚群探知機などの技術の恩恵を受けてかつては日本中で大量に漁獲されていましたが、一九六〇年代に生体数の減少が確認されて以降は、漁獲量を制限されています。

初鰹(はつがつお)

鰹は世界中の温暖な海にいて、群れで回遊しながら小魚を食べて棲息しています。その体は大きいものでは1メートルにもなります。

日本沿岸には黒潮に乗って北上し、初夏のころに回遊してくるものを「初鰹」と呼んでいます。江戸時代にはこの初鰹が大変珍重され、「女房子供を質に出してでも食え」と言われたほどでした。また秋になって親潮とともに南下するものを「戻り鰹」と呼びます。鰹漁の歴史は古く、『古事記』の中にも「堅魚」という名前で登場しています。

独活(うど)

独活は、ウコギ科タラノキ属の多年草で、人気の山菜です。春の終わりころに芽を出しますが、食用となるのはつぼみの時期から若葉が出ている一」ろまで。灰汁を抜いて天ぷらにしたり、酢味噌で和えたりして食べます。

また、今では、日の当たらない地下で栽培する「白独活」も流通しており、こちらはサラダにしたり、炒め物にしたりして食べることができます。

なお、「独活」という漢字表記は根を指す言葉で、アイスの人々は、根をすりつぶして湿布薬にするなど、ウドを薬草として使用していたそうです。

フキ

日本原産のフキは独特の香りと、セロリに似た食感で、この時季市場に出まわる季節野菜です。柄の部分を煮付けたきゃらぶきが一番人気。葉の佃煮は大人の味。夏になると苦みが増して食用に適さなくなります。

きゃらぶきは、スポンジで表面を洗って毛を落として一口大に切り、十分ほど塩で煮、水にさらして灰汁を取り、ひたひたの水に醤油・酒・砂糖・赤唐辛子を加えて煮汁がほんの少しになるまで煮詰めると出来上がり。

ニラ

春に旬を迎える一ヲは、古くは『古事記』や『万葉集』にも記載があるように、日本人と関係の深い植物です。ただし、江戸時代には薬草として栽培されており、今のように野菜として食卓に上るようになったのは戦後になってからです。

ニラは独特の匂いを持っていますが、これは硫化アリルといつ成分で、消化酵素の分泌を促すほか、食欲増進などの効果もあります。また、ビタミン類やカルシウムも豊富に含んでいます。

清明の頃の生き物

雉(きじ)

日本の国鳥である雉は、北海道を除く全国各地に棲息しており、高級食材でもあります。古来より日本人と関わりのある鳥で、「桃太郎」などの昔話にも登場。また、かつて発行されていた1万円札の裏にも、雉のイラストがデザインされていたほどです。

古くは「キギシ」といわれていました。「キギ」は鳴き声を表し、それに「鳥」を意味する「シ」をつけてキギシと呼んだのです。

燕(つばめ)

3月になって暖かくなってくると、南の国で避寒していた燕が、生まれ故郷の日本に帰ってきて巣づくりをします。夫婦で一緒に泥や藁などに唾液をまぜて巣をつくると、卵を三個から七個産みます。雛が生まれたら親鳥は餌取りに精を出します。稲を荒さず田んぼで害虫などを捕ってくるので、人間にとっては益鳥といえるでしょう。

雛たちが育って独り立ちすると、余裕があればもう一回産卵から子育てを繰り返します。冬になるとボヤ不オやフィリピン、マレー半島、ジャワ島、台湾などへ旅立ちます。

雁(がん)

暖かくなってくると、冬鳥である雁が北に旅立ちます。北海道や東北北部の湖沼や河川、田んぼなどでヒシなどを食べて過ごす雁は、冬の風物詩として日本画や小説、『万葉集』の和歌など、多くの作品に登場してきました。

「雁風呂」ということばがあります。これは、北から枝を持って渡ってきた雁は日本に着くと枝を浜辺に落とし、帰るときにまた拾っていくと思われていました。雁が帰ったあとに海辺に残った枝は、日本で死んで帰れなくなった雁のものだとして、供養のため枝を集めて風呂を焚いたといつ逸話があります。

清明の頃のうた

清明の 路ゆくばばが 念珠かな

蛇笏

姜も吾も みちのくびとや 鰊(にしん)食ふ

青椰

順礼に 打ちまじりゆく 帰雁かな

嵐雪

清明の七十二節気

玄鳥至(つばめきたる)

ツバメが巣を構え始める

鴻雁北(がんきたへかえる)

雁が北へ渡っていく

虹始見(にじはじめてあらわる)

雨の後に虹が出始める