芒種とは二十四節気の中でも夏の節気で第九の節気となっています。その意味は稲など亡(穂)のある穀物の種まきのころ。播種、種おろしとも。また、陰暦五月が仲夏です。

2014年の芒種はいつから?

6月6日(金曜日)〜6月20日(金曜日)

芒種の頃の行事

五月晴れ・五月雨・五風十雨

梅雨は陰暦五月に降り続く長雨のとで、五月の水垂れから、「さみだれ」と呼ぶとりつ説も。梅雨の合間に見える晴天が五月晴れ。五風十雨は五日に一度風が吹き、十日に一度雨が降る天気のことで、順調で、農作に都合のいい気候を表しています。

芒種の頃の旬の食材

鱚(きす)

一年中とれる魚ですが、旬は春から夏にかけての時期。刺身やてんぷらなどの料理が人気ですが、塩焼きや吸い物でもおいしくいただけます。名前の由来は、もともとはどこの海岸でも簡単に獲れたといつことから「岸」といつ名前がつき、それが転じたといつ説や、淡白な身を「潔し」と呼んでキスになった、といつ説などがあります。

スルメイカ

スルメイカは北海道から九州まで温帯の沿岸に棲息するイカで、夏に旬を迎えることから夏イカとも呼ばれています。スルメの由来は、千したイカそのものを「スルメ」と呼ぶことからきています。スルメイカは、日本ではもつとも多く漁獲されているイカです。

千物にすることで保存がよくきくことから、古代から朝廷への貢ぎ物として縁起の良い食べ物でもありました。煮ても焼いてもおいしく食べられ、天日で千されたものはうまみが凝縮されてさらにおいしい食べ物になります。スルメイカには、イカのワタを塩に漬け込んで発酵させた塩辛や、旬のサトイモとの者¨込み、イカの身に米を入れて醤油とだし汁で炊き上げたいかめしなど、イカのうまみと甘みを生かした数々の料理があります。スルメイカのスルメは、縁起物として納品されるときは「寿留女」と当て字を書きます。これは女性が嫁ぎ先で長く健康でいられるようにと願う意味が込められているそうです。

みょうが

みょうがは収穫時期により「夏みまつが」や「秋みまつが」などの種類がありますが、現在は栽培法の変化で通年出回っています。そうめんや冷奴、蕎麦などの薬味として利用するなど、上国も今も夏バテ対策の最強アイテムです。

みょうがにはビタミンCやカリウム、食物繊維などが多く含まれています。また熱を冷ます、解毒作用をするなどの効果があり、夏の食卓には欠かせない存在です。かつては「食べると物忘れがひどくなる」という俗説がありましたが、これは学術的根拠のない、単なる言いがかりだったようです。

芒種の頃の花

紫陽花(あじさい)

六月から七月にかけて花を咲かせるアジサイ科の植物です。花がさまざまな色になることから、「八仙花」や「七変化」とも。三中源はさまざまあり、『万葉集』には「味狭藍」といった記述があります。紫陽花とりつ漢字が当てられるようになったのは平安時代からといわれていて、中国・唐の詩人である白居易が別の花につけたこの漢字を日本の学者が勘違いして当ててしまい、それが広まってしまったからだそうです。

紫陽花は和歌における夏の季語で、『万葉集』には二首ほど歌われています。気温が上がってくる時季、夏の訪れの準備をする時季に咲くことから、叙情的な雰囲気をもつ花ですので現代でも石原裕次郎、浜田省吾、原由子などが紫陽花をテーマにした歌を歌っています。

ミカン科ミカン属の常緑樹で紀伊半島や四国、九州に自生している日本の固有種です。実は酸味が強いため、そのまま食べるのには向かないのでママレードの原材料として使われています。常緑樹は永遠を表すものとして、古来からめでたいものとして松とともに人気がありました。

また橘紋は日本十大家紋に挙げられています。橘を愛した元明天皇が、葛城王に橘姓を下賜したことから、橘に縁のある氏族で橘紋が用いられたそうです。

文化勲章には橘がデザインされています。当初は桜を意匠したものだったそうですが、桜が潔く散る武人の象徴となっていたのに対し、常緑樹の橘は永遠を表すので、永遠に残る文化の勲章としてふさわしいのではないか、と昭和天皇がおっしやり変更されたということです。

くちなし

アカネ科クチナシ属の常緑樹で日本から中国、インドシナにかけて分布しています。漢字では「山楯子」と書きます。

梅雨の時季に白い花を咲かせ、甘い香りを放ちます。花が咲いたあとにオレンジ色の果実が実ります。この果実は熟しても実が割けないため「国がない号」とからクチナシになったといわれています。

果実を千し、乾燥させたものは山楯子と呼ばれ、生薬のひとつとして、消炎、止血、利胆や解熱に効果があるとされてきました。

また黄色の着色料としても古くから用いられていて、キ朱め物のほかにもたくあんや和菓子の着色にも利用されました。花言葉は「幸せを運ぶ」、「胸に秘めた愛」など、クチナシらしいことばです。

昼顔

朝顔に比べるとやや小ぶりな昼顔ですが、ピンクや自の花びらは、朝顔によく似ています。その名が示すとおり、昼顔は昼の間に咲く花です。朝に開花するのは朝顔と同じですが、そこから日が上っても花がしばまないのが一番の違いといえるでしょう。

梅の実

梅の花が咲くのは二月から四月にかけて。実が熟すのは六月のこの時季なのです。実は梅干しや梅酒、ジャムなどに利用されています。さまざまな銘柄が作られるほど人気の梅干しですが、漬物としてそのまま食べますが、おにぎりやお弁当には欠かせない人気のおかずです。強い酸味が特徴で、クエン酸が豊富に含まれていることから健康食品としても愛用されています。

「塩梅」ということばがあります。

これはもともと梅の塩漬けがうまくいったことを表していて、加減や調整がうまくいつたときに使われています。

芒種の頃の生き物

鵜(う)

羽を広げた全長が1メートルほどにもなる水鳥が鵜です。日本では、海岸に棲息する海鵜、内陸の水辺に生息する川鵜、やや小柄の姫鵜、冬鳥として日本に飛来する千島鵜鳩が見られます。

かまきり

かまきりの最大の特徴といえば、他の昆虫には絶対に見られない、鎌状に変化した巨大な前脚です。最大の武器となる前脚を使って、他の昆虫だけでなくカエルやトカゲといった両生類や爬虫類を捕まえて食べる捕食昆虫です。

日本の夏の風物詩として古来から数々の和歌にも詠まれた蛍。日本に棲息する蛍は約四十種類もいますが、腹部に発光器をもっているのはゲンジボタルとヘイケボタルをはじめとする数種類の蛍だけです。ゲインボタルの名前の由来はふたつあるとされています。ひとつは、紫式部の『源氏物語』に登場する光源氏に由来するといつ説。もうひとつは、平清盛との権力争いに志半ばで敗れてしまった源頼政の魂が空に舞ったものとされている説です。

グインボタルは、日本中で最も見かける蛍です。ゲンジボタルよりも一回り身体が小さい蛍がヘイケボタルです。「ヘイケ」という名前の由来は、ゲンジボタルに対するという意味でその名前がつけられたといいます。身体の大きさだけでなく、光の点滅する速度がゲンジホタルより速いなどの違いがあります。

蛍の一生はそのほとんどを幼虫の姿で、流れある清流や水田といった水の中で過ごします。蛍の幼虫は、水の中にすむカワニワなどといった小型の巻貝などを捕食して成長します。

かたつむり

雨のなか紫陽花の葉の上を這っている姿が梅雨の風物詩ともいえるかたつむり。その名前の由来は、角のように見える日のひとつを指で触れると片方だけを身体の中に隠してしまうしぐさから。「でんでんむし」や「マイマイ」などといわれ、その愛くるしい姿は大変愛嬌があります。

芒種の頃の歌うた

紫陽花や 藪を小庭の 別座敷

芭蕉

五月雨を あつめて早し 最上川

芭蕉

高円の 野辺の容花 面影に 見えつつ妹は 忘れかねつも

大伴家持 万葉集(巻八・一六三〇)

芒種の七十二節気

蟷螂生(かまきりしょうず)

かまきりが生まれるころ

腐草為蛍(ふそうほたるとなる)

腐った草が蒸れ、蛍に生まれ変わる

梅子黄(うめのみきなり)

梅の実が黄ばんで熟す