七福神はいつから始まった?
庶民の身近にあって暮らしに幸運をもたらす七柱の福の神「七福神」が、現在のような形で人々に定着したのは江戸時代中頃。浮世絵にも宝船に乗った七福神が描かれ、正月には初詣でを兼ねての七福神詣でが庶民の間で盛んに行われた。それまでは三福神だったり五福神だったり、神々も一定ではなかったが、享和年間(1801~3)には恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、布袋尊、福禄寿、寿老人と、今の顔ぶれに落ち着いたという。実はこの七柱のうち恵比寿を除いて六柱はインドや中国など海の向こうからやってきた神々。国際色豊かというかエキゾチックなメンバー構成なのである。
恵比寿
七福神中、唯―純国産の神で、伊弊諾尊(いざなぎのみこと)、伊弊舟尊(いざなみのみこと)の間に生まれた蛭子尊(ひるこのみこと)といわれる。烏帽子に狩衣、釣り竿と魚籠を持ち、立派な鯛を抱えた姿で描かれる。古くは漁民の守護神だったが、後に商いの神に。大黒天と対で福の神として、庶民の信仰を集めた。ご利益は、主に大漁豊作、商売繁盛。
大黒天
もともとは、マハーカーラと呼ばれるヒンドゥー教の神で、創造と破壊を司るシヴァ神の化身。仏法守護の神として伝来したが、後に日本神話の大国主命(おおくにぬしのみこと)と結びつき、福の神として信仰された。打ち出の小槌と大きな袋を持ち、米俵と白鼠を従えた姿で描かれる。ご利益は五穀豊穣、家産増進、子孫繁栄。
毘沙門天
四天王の一神で、財宝の象徴である北方の守護神。ルーツはヒンドゥー教の神で、仏教とともに伝来した。甲冑を着けて矛と宝塔を持ち、邪鬼を踏む姿で描かれる。古くは武運の神として上杉謙信ら戦国武将の信仰を集めた。厄除け。恵方の神であり、財運を授け、大願成就を助けるとされる。
弁財天
七福神中、唯―の女神。サラバスティ樫な例と呼ばれるインド古代神話の水神で、ヒンドゥー教では梵天(ぼんてん)の妃。琵琶を奏でる絶世の美女の姿で描かれることが多い。水の流れる妙音から音楽、弁舌を司るとされ雄弁と智恵を授け、芸能、学問の分野での成功。名誉を与えるとされる。金運、財運をもたらすともされる。
布袋尊
七福神中、唯―の実在人物。中国の戦国時代の禅僧で名を契此(かいし)といい、諸国を放浪して預言、託宣を行い、優れた予知能力から弥勒菩薩の化身とされた。福々しい笑顔と太鼓腹、肩に下げた大きな袋が特徴。この袋は喜捨物を入れる袋だが堪忍袋ともいわれ、人格を円満に導く功徳ありとされる評知と和合金運招福の神。
寿老人
中国の道教の神で南極星の化身。白髪に頭巾、自く長い髭をたくわえ、経典をつけた杖と桃を持つ姿で描かれる。鹿を伴って描かれることも多い。桃も鹿も長寿の象徴とされ、健康、長寿を授ける仙人だ。ご利益は長寿延命、諸病平癒、富貴繁栄、子孫繁栄など。「元気で長生き」という現代に求められるテーマにぴったりの神。
福禄寿
寿老人同様、道教の神で南極星の化身とされる。身長の約半分を占める長い頭と長い白髭が特徴。杖をつき、長寿の象徴である鶴や亀を従えた姿でも描かれる道教の三徳、福(子孫繁栄)、禄(財産)、寿(健康長寿)を備え、人の寿命を知るとされる。ご利益は子孫繁栄、富貴繁栄、健康長寿。
七福神と関係の深いもの
恵方巻きの具材の由来は七福神に起因しているらしい
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七福神のご利益一覧
七福神それぞれのご利益をまとめた一覧表です。お願いごとに合わせてお参りする神様を選ぶ参考にしてください。
| 神様の名前 | 出身・ルーツ | 主なご利益 | シンボル・持ち物 |
|---|---|---|---|
| 恵比寿(えびす) | 日本神話(純国産) | 大漁豊作・商売繁盛・除災招福 | 釣り竿・鯛・烏帽子 |
| 大黒天(だいこくてん) | インド(ヒンドゥー教) | 五穀豊穣・家産増進・子孫繁栄 | 打ち出の小槌・大きな袋・米俵 |
| 毘沙門天(びしゃもんてん) | インド(仏教) | 厄除け・財運向上・大願成就 | 矛・宝塔・甲冑 |
| 弁財天(べんざいてん) | インド(ヒンドゥー教) | 芸能・学問・金運・財運・雄弁 | 琵琶・白蛇 |
| 布袋尊(ほていそん) | 中国(禅僧・実在人物) | 円満・知足・家庭円満・金運招福 | 大きな袋・太鼓腹・笑顔 |
| 寿老人(じゅろうじん) | 中国(道教) | 長寿延命・諸病平癒・富貴繁栄 | 杖・桃・鹿 |
| 福禄寿(ふくろくじゅ) | 中国(道教) | 子孫繁栄・富貴繁栄・健康長寿 | 長い頭・杖・鶴・亀 |
宝船と七福神
七福神といえば「宝船(たからぶね)」に乗った姿が有名です。宝船には七福神が乗り込み、米俵や宝物を満載した姿で描かれます。この宝船の絵を初夢(元旦から2日の夜に見る夢)に見ると縁起が良いとされており、江戸時代には宝船の絵を枕の下に入れて眠る習慣がありました。
宝船の帆には「ないものはない」を逆さまに読んだ「なかきよのとおのねむりのみなめざめなみのりふねのおとのよきかな」という回文の和歌が書かれていることでも知られています。
七福神詣で(七福神巡り)とは
「七福神詣で(七福神巡り)」とは、七福神を祀る7つの神社やお寺を参拝して回る行事です。特にお正月(1月1日〜1月7日頃)に行われることが多く、七福神すべてを参拝することで7つのご利益がいただけると伝えられています。
日本各地に七福神巡りのコースが設けられており、代表的なものとして以下があります。
- 谷中七福神(東京都・台東区〜荒川区)
- 山手七福神(東京都・港区)
- 浅草名所七福神(東京都・台東区〜墨田区)
- 鎌倉七福神(神奈川県・鎌倉市)
- 京都七福神(京都府)
七福神巡りでは、各社寺でご朱印や「宝印」を集める楽しみもあります。色紙や専用の台紙に7つの印を集めることで、七福神すべてのご利益が宿るとされています。
七福神にちなんだ縁起物
七福神はさまざまな縁起物のモチーフにもなっています。招き猫や打ち出の小槌、宝船などは日本の縁起物として広く親しまれています。
打ち出の小槌は大黒天の持ち物で、振ると欲しいものが何でも出てくるという魔法の道具。金運・商売繁盛の象徴として飾られます。
宝袋は布袋尊が持つ大きな袋のことで、福を集めて分け与えることを表しています。円満・知足の象徴とされます。
宝船は七福神が乗り込んだ帆掛け船で、幸運を運んでくることから縁起の良い飾り物として正月などに飾られます。
七福神を一堂に描いた置き物や絵は、家内安全・商売繁盛・開運招福を願う縁起物として、玄関や神棚に飾る方も多くいます。