神道の基礎

日本全国に約8万5000も存在する神社。その信仰の基礎となっているのが神道です世界最古ともいわれる日本人ならではの信仰は、どのようにして紡がれてきたのでしょうか

森羅万象、入百万沖が祀られるのが神道の基本です

世界最古の民間信仰 神童の源は自然への畏敬

神道は、縄文時代から脈々と受け継がれてきた日本人ならではの宗教です。
信仰の礎となっているのは自然に対する畏怖と尊敬の心。太古の祖先たちは農耕や漁猟などを生活の基盤にしていたため、自然は恵を与えてくれる一方で猛威をふるうこともあると肌で強く実感していたのです。文明もまだ発展しきっていない暮らしのなかで、自然のなかに神々を感じ取ったのでしょう。清浄な山や岩、木や滝など、あらゆる生命のなかに神が宿っているとして祀るようになっていったのです。

こうして自然を祀るために人々が建てたのが神社です。現在でも田舎や大都市などにかぎらず、神社が点在しているのは、こうした古くからの慣習の名残りといえるでしょう。

天地開闘から天孫降臨まで

神道では、天照大御神をはじめとして、さまざまな神さまが祀られています。こうした神々のエピソードが収められているのが『古事記』や『日本書紀』です。両書の内容には共通点もあれば相違点も散見されます。なかでも日本が生まれた「天地開闘」の描写は大きく異なり、研究者のなかでも解釈が分かれています。日本という国の誕生は大いなる謎に包まれているのです。

こうした神話のなかでもとくに有名なのが「天孫降臨」。週週芸命と呼ばれる神様が地上に降り立ったというエピソードで、のちの天皇家へと繋がる神話です。天孫降臨の地とされるのが宮崎県の高千穂。日本神話は現実とリンクすることも多く、太古の日本を読み解く貴重な史料でもあるのです。

日本人の生活に深く根付いたもっとも身近なパワースポット

はじめは全国各地で自然発生的に信仰されていた神道ですが、大和朝廷による国土統一によつて、次第に宗教としての形を整えていきました。6世紀に仏教が伝来したことにより、日本固有の信仰と外来の宗教を区別するために「神道」と呼ばれるようになっていったのです。

神道で祀られる神々は、海の神、山の神、風の神のような自然物や自然現象を司る神々、衣食住や生業を司る神々、国土開拓の神々などで、その数の多さから八百万の神々といわれます。さらに、国家や郷土のために尽くした偉人や、子孫の行く末を見守る祖先の御霊も、神として祀られました。

神道のもつ理念には、古代から今に至るまで培われてきた日本人の知恵や価値観が根づいているのです。たとえば初詣や厄除、初宮参りや七五三、結婚式や地鎮祭なども実は神道の行事。日本の風物詩ともいえる祭りも神道における信仰が形になつたものです。神道は、日本人の生き方や心そのものだといえるでしょう。

そんな神道の象徴として存在する神社は、私たちを見守ってくれる身近なパワースポットなのです。