公開日: 2026年4月7日 | 最終更新: 2026年4月8日
5月下旬(21日〜31日頃)は「小満(しょうまん)」「麦秋(ばくしゅう)」という独特の季節語が登場する、初夏の深まりとともに梅雨を間近に控えた時期です。漢語調8選・例文11パターン・結びの言葉まで、5月下旬の時候の挨拶を完全解説します。
参考:国立天文台「二十四節気とは」 / 文化庁「国語施策・日本語教育」
5月下旬の時候の挨拶とは?基本知識と季節の特徴
5月下旬は「小満(しょうまん)」「麦秋(ばくしゅう)」という独特の季節語が登場する、初夏から夏へと移りゆく時期です。麦の穂が黄金色に実り、緑が深まり、そして梅雨を間近に控えたこのころ、手紙の書き出しに「麦秋の候」「向暑の候」など5月下旬ならではの表現を添えることで、相手に豊かな季節感と教養が伝わります。本記事では5月下旬にふさわしい時候の挨拶を例文11パターンとともに解説します。
5月下旬の主な季節的特徴は以下のとおりです。
- 小満(しょうまん)(5月21日前後):二十四節気のひとつ。「万物が満ちてくるころ」を意味し、麦などの植物が成熟する時期
- 麦秋(ばくしゅう):麦の穂が黄金色に実り収穫を迎える5月下旬〜6月上旬。「夏に秋」という字が入る独特の季語
- 向暑(こうしょ):「暑さに向かっていく季節」を意味し、初夏から夏への移行を示す5月下旬〜6月の表現
- 梅雨前の爽やかさ:6月の梅雨入りを前に、5月下旬はまだ晴れが多く爽やかな日も多い
- 緑の深まり:新緑から青葉へ、さらに深緑へと緑が成熟する
5月下旬の漢語調 時候の挨拶 8選【一覧表】
5月下旬の漢語調時候の挨拶は「麦秋(ばくしゅう)の候」「小満(しょうまん)の候」「向暑(こうしょ)の候」が特徴的な表現です。「麦秋」は麦の穂が実る収穫の時期を意味し、夏なのに「秋」の字が入る珍しい語です。「向暑」は「暑さに向かっていく季節」を意味し、5月下旬から6月上旬にかけて使えます。「小満」は5月21日前後の二十四節気で、「万物が満ちてくるころ」という意味です。
5月下旬にふさわしい漢語調の時候の挨拶を8選、使用時期・適した文書とともに一覧表にまとめました。
| 表現 | 読み方 | 意味・由来 | 使用時期 | 適した文書 |
|---|---|---|---|---|
| 麦秋の候 | ばくしゅう | 麦の穂が実り収穫を迎える時期 | 5月下旬〜6月上旬 | 改まった手紙・目上の方 |
| 小満の候 | しょうまん | 二十四節気・万物が満ちてくる(5月21日前後) | 5月21日以降〜6月 | 改まった手紙・公式文書 |
| 向暑の候 | こうしょ | 暑さに向かっていく季節 | 5月下旬〜6月 | ビジネス・目上の方 |
| 薫風の候 | くんぷう | 初夏の緑の香りを運ぶ爽やかな風 | 5月全般 | ビジネス・幅広い場面 |
| 青葉の候 | あおば | 深い緑をたたえた初夏の青葉 | 5月中旬〜6月 | ビジネス・お礼状 |
| 緑陰の候 | りょくいん | 青葉が作る木陰の涼しさ | 5月下旬〜6月 | 目上の方・改まった手紙 |
| 初夏の候 | しょか | 夏の始まり・初夏の清々しい季節 | 5月全般 | ビジネス・一般手紙 |
| 深緑の候 | ふかみどり | 深みのある緑が豊かな初夏の風景 | 5月下旬〜6月 | お礼状・招待状 |
各表現の解説と使い方のポイント
麦秋(ばくしゅう)の候は5月下旬〜6月上旬に使える、この時期ならではの独特な表現です。「麦の穂が実る収穫の時期」という意味で、「秋」の字が入りますが夏の季語です。このギャップが教養を感じさせる格調ある表現として喜ばれます。「麦秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」が定番の用法です。
向暑(こうしょ)の候は「暑さに向かっていく季節」を意味する表現です。5月下旬から6月上旬にかけて使え、夏へのカウントダウンを感じさせる爽やかな表現です。「向暑の候、貴殿ますますご活躍のこととお慶び申し上げます」のように使います。
小満(しょうまん)の候は二十四節気の小満(5月21日前後)以降に使う知的な表現です。「万物が満ちてくるころ」という意味で、「麦秋」「向暑」と並ぶ5月下旬の格調ある語のひとつです。
5月下旬の例文11パターン【漢語調・和語調・カジュアル】
和語調の時候の挨拶は「麦の穂が実る季節となりました」「初夏の陽気が続くこのごろ」「梅雨入り前の爽やかな季節」など、5月下旬の情景を描写する表現が自然です。「麦秋」「小満」など漢語調では使いにくい独特の語感を、和語調に変換することで、受け取る方が情景をイメージしやすい温かみある書き出しになります。
5月下旬の時候の挨拶の書き出し例文を「漢語調(5パターン)」「和語調(3パターン)」「カジュアル(3パターン)」に分けてまとめました。
| 種別 | 表現パターン | 書き出し例文(全文) |
|---|---|---|
| 漢語調① | 麦秋の候 | 麦秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 |
| 漢語調② | 小満の候 | 小満の候、皆様にはご健勝のこととお喜び申し上げます。 |
| 漢語調③ | 向暑の候 | 向暑の候、貴殿ますますご活躍のこととお慶び申し上げます。 |
| 漢語調④ | 薫風の候 | 薫風の候、貴社のますますのご発展をお慶び申し上げます。 |
| 漢語調⑤ | 青葉の候 | 青葉の候、皆様のご清祥をお喜び申し上げます。 |
| 和語調① | 麦の穂の季節 | 麦の穂が黄金色に実る季節となりましたが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。 |
| 和語調② | 梅雨前の爽やかさ | 梅雨入り前のさわやかな日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。 |
| 和語調③ | 初夏の深まり | 緑が一段と深まり、初夏の風情が漂うこのごろ、お元気でお過ごしのことと存じます。 |
| カジュアル① | もうすぐ梅雨 | もうすぐ梅雨の季節ですね。今のうちにお出かけを楽しんでいますか? |
| カジュアル② | 初夏の陽気 | 初夏の陽気が続いていますね。元気にしていますか? |
| カジュアル③ | 暑くなってきた | だんだん暑くなってきましたね。体調は大丈夫ですか? |
漢語調例文の活用法
「麦秋の候」は5月下旬〜6月上旬のみ使える限定感のある表現で、使いこなすと教養が伝わります。「ご清栄」は法人向け、「ご清祥」は個人向けという使い分けを徹底することで、より丁寧な印象になります。
和語調例文の活用法
「麦の穂が黄金色に実る季節となりましたが」は和語調で麦秋の情景を表現した表現で、情緒的で印象に残る書き出しになります。「梅雨入り前のさわやかな日が続いております」は、梅雨前の清々しさを活かした表現で、5月下旬の爽やかさを自然に伝えます。
5月下旬の結びの言葉
5月下旬の結びの言葉は、初夏から梅雨への季節の変わり目を意識した表現が喜ばれます。「向暑の折、どうぞご自愛ください」「梅雨入り前のさわやかなひと時、ご健勝でお過ごしください」「初夏の候、皆様のご多幸をお祈り申し上げます」など、この時期ならではの言葉で締めくくると季節感が際立ちます。
ビジネス・目上の方向け
- 「向暑の折、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。」
- 「初夏の候、皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。」
- 「梅雨入り前の爽やかな季節、どうぞご自愛くださいますようお祈り申し上げます。」
- 「麦秋の折、引き続きよろしくお願い申し上げます。」
一般・個人向け
- 「向暑の季節、どうかお体に気をつけてお過ごしください。」
- 「梅雨前の爽やかな日々、皆様のご多幸をお祈りしております。」
- 「初夏の深まる季節、またお会いできる日を楽しみにしています。」
カジュアル向け
- 「もうすぐ梅雨だね。雨の季節も楽しく過ごそう!また話しましょう。」
- 「暑くなってきたけど、体調に気をつけてね。」
5月下旬の手紙・メールの書き方【全体構成と実例】
ビジネスメール実例
件名:初夏のご挨拶
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様
拝啓 麦秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、〇〇の件についてご連絡申し上げます。(本文)
向暑の折、引き続きよろしくお願い申し上げます。
敬具
個人の手紙実例
麦の穂が黄金色に実る季節となりましたね。お元気でお過ごしでしょうか。
私は(本文)
もうすぐ梅雨の季節ですが、どうかお体に気をつけてお過ごしください。またお会いできる日を楽しみにしています。
5月の時候の挨拶:関連ページ
- 5月の時候の挨拶まとめ(TOP) ── 5月全体の概要・漢語調・例文まとめ
- 5月上旬の時候の挨拶 ── 薫風・立夏・八十八夜の書き出し例文
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- 5月のビジネス時候の挨拶 ── 取引先・上司への例文集
- 6月上旬の時候の挨拶 ── 梅雨・入梅・あじさいの書き出し例文
よくある質問(FAQ)
「麦秋の候」はどんな意味ですか?いつ使えますか?
「麦秋(ばくしゅう)の候」は「麦の穂が黄金色に実り、収穫を迎えるころ」という意味です。5月下旬〜6月上旬に使える表現で、「夏なのに秋の字が入る」というギャップが教養と季節感を感じさせます。「麦秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」が定番の使い方です。改まった手紙・ビジネス文書・目上の方への手紙に特に適しています。
「向暑の候」と「薫風の候」はどう使い分けますか?
「薫風(くんぷう)の候」は5月全般を通じて使える汎用表現で、「初夏の緑の香りを運ぶ爽やかな風」を意味します。「向暑(こうしょ)の候」は「暑さに向かっていく季節」という意味で、夏の接近を感じる5月下旬〜6月上旬に特に合います。5月上旬〜中旬は「薫風」、下旬から6月にかけては「向暑」または「麦秋」という切り替えが自然です。
5月下旬に梅雨に関する表現を使うのは早いですか?
5月下旬はまだ梅雨入り前の地域がほとんどです(梅雨入りは近畿以西で5月下旬〜6月上旬、関東以北は6月)。そのため「梅雨入り前の爽やかな日が続いております」「もうすぐ梅雨の季節ですね」という表現は5月下旬のカジュアルな手紙や和語調の書き出しとして自然です。ただし漢語調の「梅雨の候」は6月入梅(6月11日前後)以降に使うのが正確です。
「小満の候」はいつ使えますか?意味は何ですか?
「小満(しょうまん)の候」は二十四節気の小満(毎年5月21日前後)以降から使えます。「小満」は「万物が次第に成長し、天地に満ちてくる」という意味で、麦などの植物が充実するころを指します。5月21日以降であれば下旬のビジネス文書・改まった手紙に格調ある表現として活用できます。
5月下旬から6月にかけての時候の挨拶はどう変えればいいですか?
5月下旬は「麦秋の候」「向暑の候」「小満の候」「薫風の候」が適しています。6月に入ったら「梅雨の候」「長雨の候」「入梅の候」など梅雨を意識した表現に切り替えましょう。特に6月11日前後の「入梅(にゅうばい)」という二十四節気雑節以降は「入梅の候」が正確です。5月下旬〜6月上旬は「向暑の候」「麦秋の候」で両方対応できます。
監修: 時候の挨拶|例文・結びの言葉・季語がわかる 編集部
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