冬至
2019年
12月22日(日曜日)
冬至の七十二侯
漢字であらわされた言葉で美しい日本語ですね
二十四節季 | 侯 | 七十二侯 |
冬至 | 初候 | 乃東生 (なつかれくさしょうず) |
夏枯草が芽を出す | ||
次候 | 麋角解 (おおしかのつのおつる) |
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大鹿が角を落とす | ||
末候 | 雪下出麦 (ゆきわたりてむぎいづる) |
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雪の下で麦が芽を出す |
2019年も年末の気配が漂ってきました。
かぼちゃとゆず湯の季節で有名なのが、12月下旬頃にやってくる冬至ですね。
冬至は、立春、夏至、秋分などと同じく、二十四節気の中でも大きな節目に当たります。
その影響もあり、かぼちゃを食べたり、ゆず湯に入ったりなどの風習があるのです。
今回は、冬至の意味や日程の決め方、関係ある季語や食べ物などについて、詳しくお話ししていきます。
冬至てどんな日
冬至は、12月21日頃から1月5日ごろまでの期間を指し、二十四節気では、22番目に当たる節気です。
まさに、12月21日頃には北半球での太陽の位置が1年の中で最も低くなるので、日照時間が短くなるのです。
夏には、日照時間が1年の中で最も長くなる夏至があるように、冬にも日照時間が短くなる冬至があるのですね。
冬至の日の決め方
冬至をはじめ、その他の節気の日程は、その年によって微妙に違います。
日程は、二十四節気をもとに決められており、太陽黄経270度を超えた日が冬至の日と定められているのです。
太陽は地球を中心にして、その周りを移動していますね。
その考え方を天動説といいます。
地球の周りを太陽が移動するときに、移動した位置を太陽黄経で示した時に、○度という表し方になります。
そのような考え方において、太陽黄経270度の位置に太陽が移動した際に、冬至の日を迎えるとされているのです。
移動の速度は、その年によって違うので、微妙に冬至の日程は変わります。
冬至は何をする日?
冬至は、季節の大きな節目でもあり、太陽が生まれ変わり幸運がやってくる日としても言い伝えられています。
そのため、無病息災を祈願して、「ん」がつく食べ物を食べたり、ゆず湯に入ったり、かぼちゃを食べたりなどの風習があります。
それでは、それぞれの風習を詳しく説明していきます。
「ん」がつく食材を食べる
冬至の日には、「ん」がつく食材を食べると、縁起がいいと言われています。
その理由は「いろはにほへと」の最後は「ん」で終わり、また最初の文字に戻ることから縁起がいいとされているからです。
「ん」がつく食材には、次のようなものがあります。
・なんきん(かぼちゃ)
・れんこん
・にんじん
・ぎんなん
・きんかん
・かんてん
冬至にカボチャを食べる理由知ってます?
冬になると、鍋や煮物などに根菜がよく使われるようになりますが、その中でもカボチャは、冬至の日に食べると良いという言い伝えがあります。
それは、「なんきん(かぼちゃ)」で「ん」がつく食材でもあるからです。
そしてもう一つ、理由があります。
実は、カボチャの旬は夏から秋であり、冬ではないのです。
この頃に旬を迎える野菜ではないのに、なぜ冬至の日に食べるのか?
それは、昔の日本では冬に野菜を食べるのが難しかったため、夏から秋にとれたカボチャを大切に保存して、冬になったら食べる習慣があったからです。
それによって、冬至の日にはカボチャを食べると言われるようになったのですね。
冬至になぜゆず湯に入る?
冬至は1年の中で最も夜が長くなる日なので、夜に邪気が入らないようにゆず湯に入るのが習慣になりました。
昔の日本では夜に邪気が入り込むと言われており、香りの強いゆずが邪気を払ってくれると考えられてきたのです。
また、この季節は体調を崩しやすいので、風邪や病気になっても「融通(ゆうずう)がきくように」という意味で、「融通(ゆうずう)」が「ゆず」になったという言い伝えもあります。
冬至粥を食べる
ゆず湯と同じく、邪気を払うという意味で、冬至の朝に冬至粥を食べる風習もあります。
冬至粥は、米と小豆を炊き込んで作るお粥です。
昔から赤いものは、邪気を払うと言われてきました。
そこから、小豆は赤色をしているため、小豆粥=冬至粥が邪気を払う食べ物として扱われるようになったのです。
小豆粥は、冬至以外の1月15日の小正月や1月7日の七草粥代わりに食べられることもあります。
冬至に関係のある季語
12月に入ると年末やお正月に向けてイベントが多くなります。
そのため、冬至に関係のある季語が多いです。
冬至によく使われる季語は次の通りです。
・シクラメン
・柊(ひいらぎ)
・椿(寒椿)
・ゆず湯
・クリスマス
・ジングルベル
・クリスマスツリー
・つむじ風
・御用納め
また冬至の時期は、年賀状をはじめ、手紙を送る機会が増えるので、時候の挨拶がよく用いられるようになります。
例えば、次のような季語が使われるケースが多いです。
・冬至の候
・歳晩の候
・歳末の候
・歳末のみぎり
また手紙では、次のような挨拶文がよく使われます。
・恭啓 冬至の候、貴社におかれましてはますますご清栄のことと慶賀の至りに存じます。常々ひとかたならぬご配慮を賜り心より御礼申し上げます。
・拝呈 歳晩の候、貴殿にはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。日頃はなにかとお心配りをいただき厚く御礼申し上げます。
冬至に関係ある季語を使った有名な俳句には、次のようなものがあります。
・山国の虚空日わたる冬至かな(飯田蛇笏)
・へつついに冬至の柚子がのつてをる(富安風生)
・どうらんの堅さ冬至の楽屋かな(小沢昭一)
12月のお手紙を書く際に参考になりますよ
▶ 12月の時候の挨拶
冬至に関係ある食べ物は?
冬至に関係がある食べ物には、風習にちなんだものが多いです。
その代表は、先ほども説明した「ん」がつく食べ物ですね。
- なんきん(かぼちゃ)
- れんこん
- にんじん
- だいこん
- ぎんなん
- きんかん
- かんてん
この中には、冬至の頃に旬を迎える野菜が多いです。
ほとんどが根菜なので、土の中でしっかり育ち、栄養を蓄えているものばかりです。
一覧の中のかぼちゃ以外の野菜について、説明していきます。
れんこん
レンコン(れんこん)は、11月から2月頃に旬を迎える根菜で、お正月のおせち料理の定番食材でもありますね。
レンコンには穴がいくつか空いていることから、レンコンを食べることで「見通しがきく」ようになると言い伝えられ、縁起が良い野菜として扱われてきました。
そうした言い伝えから、おせち料理にレンコンを使うようになったのです。
おせち料理のレンコンメニューでは、酢レンコンや筑前煮が有名ですね。
お正月にはおせち料理のレンコンメニューをたくさん食べることで、見通しが効く1年になるといいですね。
にんじん
スーパーやデパートに行くと、年中、人参(にんじん)が並んでいますね。
それは、季節によって産地を変えているからであり、産地によってはちゃんと旬のシーズンがあります。
冬至のシーズンに並べられているのは、冬にんじんと言われるもので、甘みも栄養価も高い人参です。
おせち料理にも金時人参や紅白なますで人参が使われます。
にんじんには西洋人参と東洋人参があり、お節料理の金時人参に使われているのは東洋人参です。
金時人参と言えば、色がかなり赤く、甘い人参ですね。
つまり、カロチンやリコピン、糖分が多く含まれている人参なので、風邪などで体調崩しやすい季節の栄養補給に最適なのです。
だいこん
大根(だいこん)は、冬を代表する根菜ですね。
夏の大根は、大根おろしにするとピリッと辛いですが、冬の大根は、大根おろしにしても甘いのでそのまま食べられます。
日本ではいくつかの品種の大根が出回っている中で、主な品種青首大根です。
青首大根は、水分を多く含んでおり、甘みもあるので、冬は特においしいです。
おせち料理では紅白なますで使われる食材であり、人参と大根で紅白に彩ることでお祝いを表し、その年の1日の平和を願う一品として食べられています。
まとめ
年末やお正月に向かって慌ただしくなる季節には、冬至の日があり、風習にちなんでかぼちゃや「ん」がつく食材などを食べて過ごすことが多くなります。
また、寒い冬の夜の体を温めてくれるゆず湯も有名ですね。
食べ物では、「ん」がつく食材の中の根菜がよく使われるようになり、正月になるとおせち料理にも取り入れられるのが一般的です。
年末からお正月に向けての冬至のシーズンはイベントが多い中で、縁起にちなんだ風習や食材の利用が多いのが特徴的です。
冬の二十四節季を知ろう
四季 | 節気 | 旧暦 | 西暦 |
冬 | 立冬(りっとう) | 10月節 | 11月7日頃 |
小雪(しょうせつ) | 10月中 | 11月22日頃 | |
大雪(たいせつ) | 11月節 | 12月7日頃 | |
冬至(とうじ) | 11月中 | 12月21日頃 | |
小寒(しょうかん) | 12月節 | 1月5日頃 | |
大寒(だいかん) | 12月中 | 1月21日頃 |