中国で万物の根源とされた大黒天と日本の大国主命

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中国で万物の根源とされた大黒天と日本の大国主命

太極の哲学と結びついた大黒天

中国の寺院で食物をつかさどる大黒天の祭祀が広まっていく中で、大黒天が道教の太極の考えと結びついた。太極とは、陰と陽を兼ね備えた、宇宙の本体とされるものである。

中国には古くから、すべての物を陰なるものと陽なるものとに分けてみる陰陽説(陰陽五行誡)が広まっていた。天が「陽」、地が「陰」で、男性を「陽」、女性を「陰」とするような形で、中国の知識人はあらゆるものに陰陽の区別があると考えていた。ところが太極は、陰陽の区別を超越する存在とされていた。陽なる天と陰なる地が分かれる前の宇宙の万物の元始(初めのありさま)が、太極であると考えられたのである。

ゆえに太極は陰なる要素と陽なる要素とが、ちょうど良い形に融け合った理想の姿をとるとみられていた。中国人が好む図に、太極図がある。これは、陽である自と陰である黒が一体になったありさまを示すものだ。

大黒柱と大国主命

陰陽五行説(陰陽道)は、食材を陽の食材と陰の食材に分ける考えをとつている。大根、人参などの根菜は陽の食材、小松菜、春菊などの葉菜は陰になる。陰にも陽にも偏らない配分で食材を用いると、体に良い食事ができるとされる。

このような中国的な思想によつて、食を扱う大黒天は、陰陽が調和した太極の性格を持つ仏とされるようになっていったのである。

古代の中国の知識層は、陽なる天と陰なる地との間に、宇宙を支える陰陽に偏らない太極柱があると考えていた。大黒天が太極を融合したあと、大黒柱という言葉が生まれた。柱は建物の陽なる「天」にあたる屋根と、陰なる「地」に相当する土台との間を繋ぐものである。そこで陰陽を合わせ持つ太極柱になぞらえた大黒柱とされたのだ。

大黒天の像やお札を、家の中心となる大黒柱に祭る習俗も広まっていった。日本の大国主命は、日本の国土を守る完璧な能力の神として信仰されてきた。そのため万物の根源である太極の要素を持つ大黒天信仰が日本に入ってきたあとに、大黒天が大国主命に結びつけられることになった。すべての要素を合わせ持つ中国の仏は、日本の大黒天にあたると考えられたためである。

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